各地の店で学んだ経験を生かし、
唐津の理髪界に新しい風を吹かせたい
●湊 憲一(みなとけんいち)さん
理髪店経営/唐津市原在住
今まで唐津には無かった新しい形態の理髪店
唐津インターチェンジに近い鏡山のふもとにある理髪店。お昼の開店と同時に次々とお客さんが入ってくる。中学生らしき少年からサラリーマン風の中年客、ご近所のお年寄りまで、年齢層や雰囲気は様々だ。「いらしゃい」と笑顔で迎え入れた店主はごく普通に調髪を始め、時おりお客さんとのやり取りをしながらてきぱきと仕事をこなしてゆく。日本中どこの床屋さんに行っても見られるであろう風景だが、こちらのお店の料金は周辺の理髪店よりずっと安い。いわゆる「低料金理容」のお店なのだ。
近年増えて来た低料金の理髪店の中には、設備投資を軽減するため洗髪台が無かったり、技術や客あしらいがそれなりのお店も多いと聞くが、ここ「鏡理容」にはそんな雰囲気はまったく無い。きちんとした技術と接客、料金に見合った内容と望まれるだけのサービスを提供することででたくさんのファンがついている。
この理髪店を経営する湊さんが、今のお店をオープンしたのは3年ほど前のこと。19歳で唐津を出て以来20年以上の月日がたってのUターンだった。
業界ナンバーワンの会社で経営を学んだ後に独立
唐津市内で理髪店を営む家に生まれた湊さんは、高校を出て理容師の道に入ったが、最初は上京して不動産会社に就職。しかしほどなく両親と同じ理容業界の道に入り、全国で低料金の店を展開する会社に就職。そこでは主に店舗開発を担当し、北海道以外は全国をまわりながら、新規出店した店舗を軌道に乗るまで指導する開発マネージャー的な仕事をやってきた。
しかし、そうした日々の中で自分なりの理想の経営を追求したいと思いが高まり、退職して独立を目指すことを決めたという。ではどこで開業するか。考えていた時に胸をよぎった場所は、生まれ育った懐かしい唐津の風景だった。
「僕もそろそろ落ち着きたかったし、結婚や子育てに対する夢もあります。海も山もあって食べ物も美味しい唐津は大好きだし、僕の考える新しい経営形態の店も無かったから、出せば必ずうまくいくという確信がありました。」
ご両親は今も市内で理髪店を営んではいたが、一緒にやる道は選ばず、出店場所は新興住宅が多い郊外に決めた。これから人口が増え、競合店も少ない地域を再出発の地に選んだのだ。
うまくいかない事もあるが、マイペースでやっていこう
低料金で程よいサービスを提供する湊さんのお店は評判を呼び、お客さんは順調に増えていった。しかし根が職人気質の湊さん、増え続けるお客さんの要望に応えようと、朝から晩まで休み無く働くうちに、体調を崩してしまった。仕事を手伝ってくれる人を探しはしたが、若い人は「美容師」希望が多く、経験者でも仕事ぶりに難があったりなかなかいい人材が集まらない。
自分が疲れていてはお客さんにも迷惑がかかるので、ひとまず営業時間を短縮し、休みを増やして負担を減らすことにした。今は営業時間に合わせて来てくださるお客さまを大切にしながら、パートさんと2人で店の切り盛りを行っている
「将来は人を育てて、せめて2店舗にはしたいし、プライベートでも独身のままではいたくないですよ(笑)。でも無理して自分がつぶれたらどうしようもないので、今は好きなバイクやクルマをいじる時間を作って、少しだけ趣味も楽しんでます。」と語る湊さん。
にこやかな笑顔は一見独身貴族を楽しんでいるかにも見えるが、まだまだ理想のUターン生活とはほど遠い毎日のようだ。しかし、目指す方向ははっきりしている。地域に長く愛される店づくりを目指す湊さんの挑戦はまだ始まったばかりだ。
インフォメーション
- 湊さんのお店
- 「鏡理容」
- 住所…唐津市原928-6(下野中交差点ジョイフル横)
- 電話…0955-77-4193
- 「鏡理容」
